Survival After Second Primary Neoplasms of the Brain or Spinal Cord in Survivors of Childhood Cancer: Results From the British Childhood Cancer Survivor Study
小児がん長期生存者に発症した、2次性原発脳脊髄腫瘍の生存率:英国小児がん長期生存者研究からの報告
J Clin Oncol. 2009 Dec 1;27(34):5781-7. Epub 2009 Sep 28.
要旨
目的: 脳脊髄腫瘍の生存率は低く、脳腫瘍の種類、年齢、悪性度、治療、治療前要因、部位、腫瘍の大きさなどに左右される。すべての種類の二次性原発脳脊髄腫瘍の生存率と、それに寄与する因子について調査した。
対象/方法: 英国小児がん長期生存者研究は、17,980人の5年以上の長期生存者の人口ベースの長期フォローアップ研究である。小児がん長期生存後に発症した二次性原発脳脊髄腫瘍患者の、5年間相対生存率を計算し、多変量COX回帰分析によって生存率寄与因子を求めた。
結果: 合計で247名の二次性原発脳脊髄腫瘍を発症した若年成人患者が存在した。うち137名が髄膜腫、73名がグリオーマであった。髄膜腫発症後の5年生存率は男女に違いがなかった(男性84.0%; 95%CI 72.6-91.1%、女性81.7%; 95%CI 69.9-33.7%)。グリオーマでは男女合わせた生存率が19.5% (95%CI 8.6-33.7%)であった。多変量分析によって治療を受けた年代(P=0.04)、悪性度(P=0.03)、遺伝的リスク(P=0.03)が髄膜腫発症後の生存率の寄与因子であった。一方グリオーマでは、悪性度が有意に生存率に寄与した(P<0.001)。
結論: 我々の調査結果は、若年成人における二次性原発グリオーマの生存率が低いことを明らかにした。一方、二次性原発髄膜腫の生存率は良好であった。我々の調査は、二次性原発脳腫瘍の発症リスクの高い小児がん長期生存者、特に小児急性リンパ性白血病または小児脳腫瘍患者に対する、MRIスクリーニングの臨床における必要性を示唆する。
コメント:小児がんの治療成績が向上し、長期生存者が増加しているが、晩期障害は大きな問題である。遺伝的素因と発癌リスクのある治療という、ふたつの大きな要因がある小児がん患者の二次がん発生リスクは高い。なかでも、白血病の中枢神経再発予防のための全脳照射を受けた生存者と原発脳腫瘍の治療のために放射線療法を受けた生存者において、二次性原発脳腫瘍のリスクは高い。本研究では、約18000人が登録された、長期生存者データベースから、少なくとも247人の二次性原発脳脊髄腫瘍が発生したことになる。二次性グリオーマの予後は、同世代で発症する一次性グリオーマより悪い。元々の遺伝的素因、限られた治療オプションなどがその原因であろう。髄膜種に関しては、発症率は高いものの、生存率は一次性腫瘍と大きく変わらなかった。最近のプロトコールおいては、白血病の中枢神経再発予防としての全脳照射を、回避するようになったので、白血病生存後の二次性原発脳腫瘍の発生数は減少すると思われるが、多くの悪性脳腫瘍治療において、放射線療法は不可欠であり、今後も二次性原発脳腫瘍ha発生する。長期にわたるMRIスクリーニングの有用性は検討に値する。一方で、低悪性度グリオーマにおいては、化学療法や手術療法を最大限活用して、できる限り放射線療法を回避する努力が必要である。
リンク: http://bit.ly/4FCCgY
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